ラーンがいつものように大口を開けて笑っていた。「おいイシェ、今日は絶対何か見つかるぞ！この遺跡には何かあるって気がするんだ！」 イシェは眉間にしわを寄せながら、ラーンの背後から彼の荷物を整理した。「またそんなこと言ってる。いい加減に現実を見てほしいわよ。ここ何週間も何も見つかってないじゃないの」
「でも今回は違うって！ほら、この入り口の紋様、見たことある？」 ラーンは興奮気味に指さす。イシェはため息をつきながら紋様を見た。「ただの古い模様でしょう。そんなものに期待するのはやめなさい」だが、どこか落ち着かない気持ちがあった。いつもとは違う何かを感じ取ったのだ。
その時、後ろから冷たい声が聞こえた。「二人とも準備はいいか？」テルヘルが鋭い視線で彼らを睨んでいた。「この遺跡には危険な罠があるかもしれない。油断するな」 ラーンの顔は一瞬曇ったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。「心配しないで、テルヘルさん！俺たちにはイシェがいるんだから！」 イシェは困り顔でラーンをにらみつけた。
彼らは遺跡の中へと足を踏み入れた。薄暗い通路は湿った空気で満たされ、古びた石畳の上には苔が生えていた。静寂の中で、かすかに足音だけが響いていた。 ラーンは興奮気味に周囲を見回し、イシェは慎重に足元を確認しながら進んだ。テルヘルは二人をじっと見つめながら、何かを考えているようだった。
すると、突然壁の一部が崩れ落ちた。ラーンの足元が空洞になり、彼はバランスを崩して転落しそうになった。イシェが咄嗟に彼の腕をつかみ、引き上げた。「危ない！気を付けて！」 イシェは怒りを込めて言ったが、ラーンはただ笑っていた。「あはは、危ない危ない！でも大丈夫だ、イシェ！」
その時、崩れ落ちた壁の中から光が放たれた。それは、青く輝く美しい石で、まるで宝石のようだった。「何だこれは…」 イシェは息を呑んだ。テルヘルも目を輝かせ、「これは…！」と呟いた。ラーンの表情は興奮から畏敬の念へと変わっていった。
その石は、まるで彼らの前に広がる「極楽」への扉を開く鍵のようだった。