ラーンの大 swing が埃を巻き上げ、崩れかけた石柱を粉砕した。イシェは眉間にシワを寄せながら、彼を睨みつけた。「また無駄なことを…」と呟きながらも、足早に瓦礫の下へ潜り込んだ。
「ほら、何かあるかも!」ラーンは興奮気味に叫び、イシェの後ろについていく。だが、イシェは彼の期待を裏切り、石柱の影から出てきたのは錆びついた小さな金属片だけだった。「またか…」彼女はため息をついた。
「でもね、イシェ、この形…どこかで見たことあるような…?」ラーンの目は輝いていた。「もしかして、これは…」彼は興奮を抑えきれない様子で、金属片を手に取り、よく観察した。
「まったく…」イシェは彼を睨みつけながら、金属片を奪い取った。「これはただの破損した工具だよ。無駄な期待をするのをやめなさい。」と冷静に言った。しかし、彼女の心にも、どこか引っかかるものがあった。
その日の夜、ビレーの宿屋で、テルヘルは三人の前に広げた地図を指差していた。「この遺跡群、実はヴォルダンがかつて占領した領域の一部なんです。」彼女は冷酷な目で言った。「そして、この金属片…」
彼女はイシェから奪った金属片を取り上げ、テーブルの上に置いた。
「これはヴォルダンの兵器の部品です。検証の結果、この遺跡には、まだヴォルダンが遺した秘密が残されている可能性が高い。」テルヘルは鋭い視線でラーンとイシェを見据えた。「今回の探索は単なる財宝探しではありません。ヴォルダンへの復讐に繋がる鍵を握っているかもしれません。」
ラーンの表情は硬直し、イシェは息をのんだ。金属片はただの破損した工具ではなかった。それは、彼らを壮大な歴史の渦の中に巻き込む、運命の歯車だった。