ラーンが巨大な斧を振り下ろすと、朽ちた石柱が崩れ落ちた。埃が舞う中、イシェは鼻をつまんで不機嫌そうに言った。「また無駄な力仕事か?あの石柱、何にも持ってなかっただろうに」
「うるさいなぁ、イシェ。いつだってネガティブだな。ほら、何かあるかもって思ったんだ!」ラーンはそう言うと、崩れた石の下をくまなく探り始めた。
テルヘルは少し離れた場所で地図を広げながら、冷静に状況を分析していた。「遺跡の構造から判断すると、この先は大きな空洞になっている可能性が高い。しかし、過去の記録にはその奥に何かが記されているという記述はない」
「つまり、大穴の可能性があるってことか!」ラーンの目は輝いた。「よし、イシェ!準備はいいか?俺たち、歴史を変える大発見をするぞ!」
イシェはため息をつきながら頷いた。ラーンの熱意にはいつも振り回されるが、彼の無謀さに巻き込まれることばかりだった。
森に囲まれた遺跡の入り口付近では、太陽の光が木々の葉を透かし、幻想的な影を落とす。静寂の中、鳥のさえずりが響き渡っていた。ラーンとイシェはテルヘルの指示に従い、慎重に森を切り開いて進む。
「ここにはかつて、ヴォルダンとの戦いで命を落とした者たちの墓があったという記録がある」テルヘルはそう言うと、地面に落ちている石ころを拾い上げた。「この石には彼らの魂が残されているかもしれない」
イシェは少しだけ不気味な気持ちになった。森の奥深くでは、何か unseen のものが静かに見守っているような気がした。
「よし、ここからは俺たちが先導するぞ!」ラーンが力強く言った。「イシェ、お前は後ろを固めろ!テルヘル、お前は地図を確認しながら進め!」
ラーンの言葉に、イシェは小さく頷いた。彼女はラーンの行動力にはいつも驚かされるが、彼の無謀さに巻き込まれることばかりだった。しかし、今回は何かが違う気がした。森の奥深くから、かすかな光が漏れているように見えたのだ。それは、大穴への入り口なのかもしれない。
そして、その光は、希望の光のように彼女たちの心を照らしていた。