ラーンの粗雑な剣 swing によって埃が舞い上がり、イシェは咳き込みながら鼻をつまんだ。「またかよ、ラーン。せめて少しは丁寧に扱えよ」
「あーごめん、イシェ。でもさ、この遺跡の入り口には何かある気がするんだよなぁ。ほら、この壁に刻まれた模様、見てみろよ!」
イシェが目を細めて壁の模様を眺めた。確かに、一見するとただの抽象的な模様だが、よく見ると規則性があるように見えた。
「確かに…何か意味がありそうだけど、何かわからないわね」
その時、背後から冷たく声がした。「その模様は、古代ヴォルダン人が使用していた魔術記号の一つです。注意すべきは、この記号が持つ栄養吸収効果です。」
振り返るとテルヘルが立っていた。彼女の鋭い視線は、まるで二人を切り裂くかのように冷たい。
「栄養吸収効果?」ラーンが首を傾げた。
「そう。この記号は、周囲から栄養を吸収し、そのエネルギーを魔力に変換する効果があるのです。古代ヴォルダン人は、この技術を使って強力な兵器を作り出したと言われています」テルヘルは静かに説明した。
イシェは不安げに言った。「つまり、この遺跡には危険な魔力が眠っているということ?」
「そうかもしれません。そして、その栄養源として、私たちも狙われている可能性があります」テルヘルは鋭い視線でラーンとイシェを見据えた。「準備はいいか?私たちは今、死闘の淵にいることを理解しているはずです。」
ラーンの顔から血の気が引いていくのが見えた。イシェは小さく息を呑んだ。二人は、目の前に広がる遺跡の奥底に眠る謎と恐怖、そしてテルヘルの冷酷な目的を前に、深い不安を感じていた。