ラーンの大声がビレーの朝の静けさを打ち破った。「今日は絶対に何か見つかる!あの遺跡、俺の直感を信じるんだ!」
イシェはため息をついた。「またあの遺跡?あれは既に何十回も調査したじゃないか。何もないって。」
「いや、今回は違う!今日は絶対何かある!」ラーンの瞳は輝いていた。イシェは彼の熱意に圧倒され、結局いつものように頷いてしまった。
彼らはテルヘルと共に、ビレーから少し離れた遺跡へと向かった。遺跡は崩れ落ちた石造りの建物群で、かつて栄華を極めた都市の面影を残していた。だが、今は風化と荒廃に蝕まれ、誰もその真の姿を知ることはなかった。
「よし、今日は俺が先頭を切る!」ラーンは意気揚々と遺跡の中へ踏み込んだ。イシェはテルヘルと共に彼の後を続けた。
遺跡内は薄暗く、埃っぽい空気が立ち込めていて息苦しかった。崩れかけた石柱や壊れた石像が、かつての栄華を偲ばせる。ラーンは興奮気味に周囲を見回し、イシェは慎重に足元を確認しながら進んだ。テルヘルは沈黙を守り、鋭い目で遺跡を観察していた。
「あれ?何かある!」ラーンの声が響いた。彼は崩れた壁の下に何かを発見したらしい。イシェとテルヘルが駆け寄ると、そこには古い木箱が埋まっていた。
「やった!ついに大穴だ!」ラーンは興奮を抑えきれず叫んだ。イシェも思わず息をのんだ。箱には複雑な彫刻が施されており、まるで古代の魔術を秘めたかのような雰囲気があった。
テルヘルは慎重に箱を開けようと手を伸ばした。「待て」イシェが声を上げた。「これは危険かもしれない。罠の可能性もある」
しかしラーンは気にせず、箱の蓋を開けた。その瞬間、遺跡全体に不気味な光が渦巻いた。そして、箱から放たれたのは、かつてこの地に栄華を極めた文明の記憶だった。
その記憶は、失われた技術、忘れられた魔法、そして栄光と滅亡の歴史を語り始めた。ラーン、イシェ、テルヘルは、古代文明の真実に触れ、自分たちの運命を大きく変える旅へと足を踏み入れることになる。