「準備はいいか?」ラーンの声が響き渡る。イシェは懐から地図を取り出して確認した。「うん、ここだな。あの崩れた塔の少し奥だ」。テルヘルは鋭い視線で二人を見据えた。「遺跡に入る前に言っておくが、今回は特に警戒が必要だ。ヴォルダンからの情報では、この遺跡には強力なトラップが仕掛けられているらしい」。ラーンはいつものように Carefree な表情で、「大丈夫大丈夫、俺が先頭行くから!」と豪語した。イシェはため息をつきながら、テルヘルの指示に従い、後方から彼を見守ることにした。
崩れかけた石造りの門をくぐると、そこは薄暗く湿った空気が漂う空間だった。壁には謎の文字が刻まれており、床には苔むした石畳が広がっていた。「ここか…」テルヘルは慎重に足音立てないように移動しながら、周囲を見回し始めた。イシェは懐中電灯の光を当てながら、壁に刻まれた文字を注意深く観察していた。ラーンは興味津々に、苔むした石畳の上に生えている不思議な植物を触ろうとした。「待て!」イシェがラーンの腕を掴んだ。「あの植物は危険だ。毒があるぞ」。ラーンは苦笑しながら、「あ〜そうか」と呟いた。テルヘルは二人のやり取りを静かに見守りつつ、自身の目的を胸に秘めていた。
彼らは遺跡の奥へと進んでいくにつれて、徐々に複雑な迷宮のような構造になっていった。壁には仕掛けが隠されているように見え、床には落とし穴があるかもしれない。イシェは慎重に地図を確認しながら、ラーンの行動を抑えようとする。だが、ラーンの好奇心は抑えられず、危険を顧みずに進んでいく。テルヘルは二人の様子を見据えながら、時には冷静な判断で彼らを導き、時には鋭い洞察力で状況を打開する。柔軟に状況に対応しながら、遺跡の奥へと進もうとしていた。