「よし、今回はあの西の遺跡だな」ラーンが地図を広げると、イシェは眉間に皺を寄せた。「またか？あの遺跡は危険だって聞いたことがあるぞ。罠だらけだなんて」
「大丈夫、大丈夫！俺たちが探すのはあくまで遺跡の入り口だけだ」ラーンは自信満々に言った。「テルヘルさんのおっしゃる通り、入り口に何かしらの手がかりがあるはずだ。それを見つければ、あとは大穴だ！」
イシェはため息をつきながら、準備を始めた。テルヘルはいつものように沈黙を守り、鋭い目を遺跡の地図に注いでいる。彼女はヴォルダンへの復讐のため、この遺跡にも何かしらの手がかりがあると信じているのだ。
ビレーを出発した3人は、険しい山道を進んだ。日が暮れる頃、ようやく遺跡の入り口らしき場所を見つけた。崩れかけた石畳と、苔むした石柱が立ち並ぶ光景は、何とも言えない不気味さを感じさせた。
「ここだな」ラーンは興奮気味に言った。「よし、イシェ、お前は警戒を。テルヘルさん、入り口を探してくれ！」
イシェは周囲を見回しながら、剣を構えた。テルヘルは石柱の隙間を覗き込みながら、何かを呟いている。「ん？これは…染料？」彼女は石柱から剥がれ落ちた小さな破片を拾い上げた。「何かの記号が書かれている…」
ラーンの好奇心が抑えられず、テルヘルの元に駆け寄った。「なんだ、なんだ！何か見つかったのか？」
「まだ分からない」テルヘルは冷静に言った。「だが、これは重要な手がかりになるかもしれない。ヴォルダンと関係がある可能性が高い」
イシェは不安そうに言った。「染料で記号か…一体何を意味するんだろう？」
3人は互いに言葉を交わしながら、遺跡の入り口へと続く道を進んだ。沈黙が長く続く中、イシェはラーンの背中に何かを感じ取った。「ラーン…」
「なんだ？イシェ」ラーンは振り返ると、イシェは彼の目をまっすぐに見つめていた。「何か変だ…この染料…どこかで見たような…」