ラーンの大雑把な swing で開けられた石扉の奥には、予想外の広がりがあった。イシェの灯火が壁一面に踊る影を描き、その中心には巨大な装置が鎮座していた。複雑に絡み合う金属製の歯車と、脈打つように発光する水晶球。それはまるで古代文明の心臓部を見ているようだった。
「おっと、これは大物だ！」ラーンは目を輝かせ、装置をぐるりと一周した。「こんなもん、莫大な価値がついてるぞ！」
イシェは慎重に装置に近づき、水晶球に触れた。「何か…温かみを感じる」彼女は呟いた。「まるで生きているようだ」。
テルヘルは沈黙を守り、鋭い視線で装置全体をくまなく見渡していた。彼女の表情は、興奮よりも何か別の感情に支配されていた。それは、かつてヴォルダンに奪われたものへの渇望、そして復讐を果たすための鍵を手に入れようとする執念だった。
「この遺跡の枢要…ここにあったのか」
テルヘルは静かに呟いた。その言葉は、ラーンの興奮とイシェの驚きを一瞬でかき消した。三人は互いに顔を見合わせた時、それぞれが抱える秘密と欲望が交錯するような気がした。この遺跡がもたらすものは、単なる財宝ではない。彼らの運命を変える、そして世界を揺るがす可能性を秘めた何かだった。