ラーンが遺跡の入り口で、興奮気味に剣を研いでいた。
「今回は絶対に何か見つかるぞ!あの古代文明の金貨とか、宝石とか、想像しただけでワクワクするぜ!」
イシェはため息をつきながら、地図を広げた。「またしても大穴話か。ラーン、そんな夢を見ている暇があるなら、計画を立て直すべきだ。あの遺跡は危険だって何度も言っただろう。」
「大丈夫、大丈夫!イシェが心配しすぎだよ。俺たちにはテルヘルがいるじゃないか。あの人の知識があれば、どんな罠も突破できるはずだ。」
イシェはラーンの楽観的な態度に辟易しながらも、テルヘルの方を見た。「準備はいいですか?」
テルヘルは冷酷な表情で頷き、鋭い目を遺跡に向けた。「準備は完了している。この遺跡には、ヴォルダンが隠したという伝説の遺物がある。我々はそれを手に入れるのだ。」
三人は遺跡へと足を踏み入れた。暗い通路を進み、朽ち果てた石造りの階段を上っていく。ラーンは好奇心と興奮でいっぱいで、イシェの忠告を無視して、先へ先へと進んでいった。
テルヘルは静かに周囲を観察し、地図を広げて位置を確認していた。彼女は遺跡の構造や歴史について深く調べており、この遺跡がヴォルダンに関連していることを確信していた。
しかし、彼らの前に立ちはだかる壁は想像以上に強固だった。複雑な仕掛けと罠が張り巡らされ、一歩間違えば命を落とす危険があった。ラーンの無謀な行動は何度も危機を招き、イシェは必死に彼を制止した。テルヘルは冷静沈着に状況を分析し、罠を解除する方法を探したが、その複雑さに苦戦した。
彼らは疲弊しながらも、遺跡の奥深くへと進んだ。そしてついに、伝説の遺物があるという大広間にたどり着いた。そこには、輝く黄金の宝箱が置かれていた。ラーンは歓声を上げ、興奮して宝箱に手を伸ばそうとしたその時、床から鋭い棘が飛び出した!
ラーンの足が刺さった。彼は痛みに苦しみながら倒れ込んだ。イシェは慌てて駆け寄ったが、ラーンの傷は深く、血が止まらない。テルヘルは冷静さを保ち、近くの薬草を使って止血を試みた。しかし、ラーンの意識はすでに朦朧としていた。
「ラーン!」
イシェの叫び声は、広間に響き渡った。未熟な冒険心と、その代償が、目の前に迫っていた。