ビレーの街はずれにある酒場で、ラーンは大きなジョッキを片手に豪快に笑っていた。イシェはいつものように彼を呆れたような顔で見つめていたが、口には出さずに静かに小杯を傾けていた。
「なあ、イシェ!次の遺跡探検でついに大穴を掘り当ててやるぜ!」
ラーンの言葉にイシェは小さくため息をついた。「また同じこと?あの遺跡の地図なんて、ほとんどが風化して読めないだろう」
「大丈夫だ!俺の勘が言ってるんだ!」
ラーンは自信満々に胸を張る。イシェは彼のその姿を見つめながら、心の中でため息をついた。ラーンの夢はいつまでも続くのだろうか?
その時、 tavern の入り口に影が落とされた。背の高い女性が、黒曜石のように輝く瞳で二人を見下ろしていた。テルヘルだ。
「準備はいいですか?」彼女の言葉は冷酷だが、どこか頼もしく響いた。ラーンとイシェは互いに頷き合った。
彼らは、森の奥深くにある遺跡へと向かった。木漏れ日が差し込む道は、まるで古代の秘密を囁いているようだった。遺跡の入り口は崩れかけており、朽ち果てた石碑がひっそりと立っていた。
「ここだ…」テルヘルは低い声で言った。ラーンの心は高鳴り、イシェも緊張した面持ちになった。彼らは慎重に遺跡へと足を踏み入れた。
遺跡内部は暗く、湿った空気で満たされていた。石畳の床には苔が生え、壁には謎の文字が刻まれていた。木漏れ日が差し込む場所もあり、そこだけ光と影のコントラストが美しく映えていた。
テルヘルが先導し、ラーンとイシェは後ろから続いた。彼らは慎重に進んでいくうちに、遺跡の奥深くで何かを見つけた。それは、巨大な石棺だった。
「ここに何かがある」テルヘルは石棺を指さした。ラーンの目は輝き、イシェも好奇心と警戒心を抱いていた。
その時、石棺の上部から不気味な光が放たれ、部屋中に広がった。ラーンとイシェは目を細めたが、その光は木漏れ日のように柔らかく、彼らを包み込んだ。
「これは…」テルヘルは驚きの声を上げた。石棺の蓋がゆっくりと開いていく。その中からは、黄金で輝く剣が出てきた。
ラーンの顔は喜びに満ち溢れていた。「ついに大穴を掘り当てたぜ!」彼は剣を手に取ろうとした。しかし、イシェは彼を制止した。
「待て!何か変だ…」イシェは剣から放たれる不気味な光と、石棺から漂う奇妙な空気を察知していた。
その時、遺跡の奥底で何かが動き始めた。影が蠢き、不気味な音が響き渡った。ラーンとイシェは戦いの準備をし、テルヘルは冷酷な表情で剣を構えた。
木漏れ日が差し込む遺跡の入り口から、新たな冒険が始まろうとしていた。