ラーンの粗雑な剣さばきが埃を巻き上げ、薄暗い遺跡の奥深くへと響いた。イシェは眉間に皺を寄せて、ラーンを制止しようとしたが、彼の熱意には勝てなかった。
「ほら、イシェ！見てみろ！これは大物だぞ！」
ラーンの指さす先には、錆びた金属製の箱があった。イシェはため息をつきながら、箱に刻まれた古代文字を解読し始めた。朝焼けが差し込む入り口から漏れる光が、埃っぽく鈍い輝きを放つ文字に反射した。
「これは…ヴォルダンの紋章だ」
イシェの言葉に、ラーンは一瞬表情を曇らせた。テルヘルは鋭い眼光で箱を見据え、唇を薄く結んだ。「ヴォルダンか…」彼女は呟いた。「この遺跡には何か秘密が隠されているに違いない」
その時、遠くから不気味な音が響き渡った。石の埃が舞い上がり、空気が重くなった。ラーンは剣を握りしめ、イシェは警戒した視線で周囲を見回した。テルヘルは静かに手を前に伸ばし、何かを感知しているかのように耳を傾けた。
朝焼けに染まる遺跡の奥深くから、ゆっくりと影が伸びてきた。それは巨大な獣の姿だった。ヴォルダン軍が遺跡に潜伏していたのだ。彼らは遺跡の謎を解き明かし、強力な武器を求めていた。
ラーンは剣を抜き、イシェは仕込み杖を構えた。テルヘルは冷酷な微笑みを浮かべ、二つの刀を手に取った。朝焼けの光の中で、三人は影に立ち向かう決意を固めた。