ラーンの大声がビレーの市場にこだました。「今日の目標はあの遺跡だ！噂では古代王の墓室があるらしいぞ！」イシェはため息をつきながら、ラーンの背中に手を置いた。「落ち着いて、ラーン。墓室なんて見つけたところでどうするんだ？あの遺跡は朝廷が調査済みだって聞いたぞ」
「朝廷の調査なんて大したことはないだろう！俺たちならもっとすごいものが見つかるはずだ！」ラーンの目は輝いていた。イシェは諦めたように肩をすくめた。「わかった、わかった。でも今回は本当に危険な場所だから気をつけろよ」
彼らはテルヘルに案内され、遺跡へと向かった。遺跡の入り口は崩れかけており、不気味な影が伸びていた。テルヘルは顔色を変えながらも、淡々と地図を広げた。「ここはかつてヴォルダンとエンノル連合が激突した場所だ。朝廷もこの遺跡を調査したが、詳細な記録は残されていない」
「ヴォルダンか…」ラーンの表情が硬くなった。イシェは彼の肩に触れた。「気をつけろ、ラーン」
遺跡内部は暗く湿っていた。崩れかけた壁には謎の文字が刻まれており、不気味な静けさが支配していた。ラーンは剣を構え、イシェは慎重に足取りを進めた。テルヘルは地図を片手に、何かを探しているようだった。
すると、突然、床から毒ガスが噴き出した！ラーンは咄嗟にイシェを抱きしめ、身をかわした。イシェは咳き込みながら、「罠だ！」と叫んだ。テルヘルは冷静にガスが発生する装置を見つけ、それを破壊した。
「この遺跡にはヴォルダンが仕掛けた罠がたくさんあるようだ」テルヘルは鋭い目を向けた。「朝廷の情報では、この遺跡にはヴォルダンの秘密兵器が眠っているらしい」
ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。秘密兵器…それは一体…？彼らは、朝廷が隠している真実を知り、自分たちの運命を賭けて遺跡の奥深くに進んでいくのだった。