「おいラーン、今回はちゃんと計画立てていくぞ!」イシェがいつも以上に厳しい口調で言った。ラーンの無計画な遺跡探索にうんざりしていたのだ。特に今日は違う。テルヘルから依頼された遺跡はヴォルダンに近い場所にあるという。危険度が高いことは言うまでもない。
「わかったわかった、イシェ。今回は念入りに調査するよ」ラーンはそう言いながらも、いつものように剣を磨き始めた。イシェの言葉はいつも通り耳に入っていないようだった。
遺跡の入り口に着くと、テルヘルが待っていた。「準備はいいか?」彼女は鋭い目で二人を見つめた。ラーンの無気力な態度に眉をひそめた。
「もちろん、準備万端だ」イシェは緊張した様子で答えた。テルヘルは彼らに地図を渡し、遺跡の詳細を説明した。今回は特に注意すべき場所がいくつかあるらしい。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。足元には崩れかけた石畳が広がり、壁には古びた絵画が描かれていた。ラーンは常に周囲を見回し、イシェは地図を頼りに慎重に進んでいった。テルヘルは二人をリードしながら、時折鋭い視線で周囲を警戒していた。
しばらく進むと、突然床が崩れ始めた。ラーンは咄嗟にイシェを引っ張り、一緒に転げ込んだ。目の前には深い chasm が広がっていた。
「くそっ、罠だ!」ラーンが叫んだ。イシェは息を切らしながら立ち上がり、「ここは気をつけないと…」とつぶやいた。テルヘルは冷静に状況を判断し、近くの石柱を足場にして chasm を越えようとした。
その時、背後から不気味な音が聞こえてきた。振り返ると、巨大な影が彼らを襲いかかってくる。ラーンは剣を抜いて立ち向かったが、その影は想像以上に強靭で、剣が通じない。イシェは必死に逃げる道を探したが、出口は見つからない。
絶体絶命のピンチに、テルヘルが突然動き出した。「お前たちを置いていくわけにはいかない」彼女は冷酷な表情で言った。そして、その影に向かって飛び込んだ。
ラーンとイシェは恐怖と絶望を感じた。テルヘルの運命は、そして彼らの未来は…。最悪の事態が目の前で現実になりつつあった。