ビレーの酒場で、ラーンが豪快な笑いを上げながら酒を煽っていた。イシェは眉間にしわを寄せていた。「また遺跡でトラブルでもあったのか?」と訊ねる。「ああ、あの古いトラップがまだ残ってたんだ! 危ない目に遭ったぜ!」ラーンの話にイシェはため息をついた。「いつもその調子で、いつ大怪我をするか分からない。」
そんな時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女は普段より顔色が悪く、コートの襟を立てて体を震わせていた。「急いで準備しろ。今夜は出撃だ」と告げる彼女の言葉にラーンは目を輝かせた。「やった! ついに大穴が見つかるのか?」イシェは不安そうにテルヘルの様子を見た。「一体何が起こったのですか? 」
「ヴォルダンからの使者がビレーに来て、遺跡の情報を奪おうとした。俺たちが邪魔をしたんだ」テルヘルは険しい顔で言った。「今夜は暴風雨になるという。使者は夜にこっそり遺跡へ入ろうと計画しているだろう。我々は先に遺跡に行って、彼らを迎え撃つ。」
ラーンの顔色が一瞬曇った。危険な任務だ。だが、イシェの心配そうな視線を感じながら、彼は立ち上がった。「よし! 行こうぜ!」ラーンは剣を手に取り、テルヘルに続くように外へと出た。イシェも仕方なく後を追う。
夜空には暗雲が渦巻き、激しい風が吹き荒れていた。雨粒が激しく地面を叩きつける中、三人は遺跡に向かって進んだ。道はぬかるんでいて足元も不安定だ。「この嵐の中を進めるとは…」「イシェ、大丈夫か?」ラーンが心配そうに尋ねた。「私は大丈夫です」とイシェは答えるが、声に少し震えが混じっていることに気づいた。
遺跡の入り口に着くと、テルヘルが立ち止まった。「ここからは慎重に進もう。使者は罠を仕掛けた可能性がある」彼女は静かに言った。三人は息を潜めて遺跡の中へと入った。薄暗い通路は雨水のせいでより滑りやすくなっていた。
彼らは緊張感の中で進み続け、ついに遺跡の中心部にある大広間に出た。そこにはヴォルダンの使者が立っていた。彼は邪悪な笑みを浮かべている。「おや、何をしているんですか? このような嵐の夜に?」彼の言葉にラーンが激しく怒りを露わにした。
その時、激しい雷鳴が響き渡り、大広間を一瞬明るく照らした。その瞬間、使者とテルヘルが同時に動き出した。剣がぶつかり合い、激しい戦いが始まった。ラーンは使者を攻撃しようと躍りかかるが、イシェが彼の腕をつかんで止めた。「待て! ラーン! この状況では冷静に判断する必要がある!」
イシェの冷静な判断とテルヘルの戦略的な戦いぶりによって、三人はついに使者を倒すことに成功した。激しい嵐の中で、彼らは勝利を得たのだ。