ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快な笑い声を上げていた。「また遺跡から骨董品が出てきたぞ!今日はいい日だ!」イシェは眉間にしわを寄せながら、「骨董品を売るには時間がかかる。食料代すらままならないだろう」と冷静に言った。ラーンの背後にあるテルヘルは静かに酒を傾け、彼らのやり取りを鋭い目で見ていた。
「おいおい、イシェ、そんなこと言っても仕方がないだろ!いつか大穴が見つかるさ!」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。「いつまでその夢を見るつもりだ?ビレーの生活に慣れろって…」
テルヘルが口を開いた。「二人はいつまでこの場所で時間を無駄にするつもりだ?」彼女の冷たい視線に、ラーンとイシェは言葉を失った。
「ヴォルダンとの戦いは近い。君たちの力は必要だ。遺跡探索で得た知識や経験が、我々の勝利につながるかもしれない」テルヘルの言葉に、二人は互いに顔を見合わせた。ビレーの狭い世界から抜け出すチャンスなのかもしれない。
ラーンの心は揺れ動いた。「よし、わかった!次の遺跡はヴォルダンとの戦いに役立つものだ!」イシェも小さく頷いた。
「では、準備を始めるぞ」テルヘルは立ち上がり、テーブルに置かれた地図を広げた。地図には赤で示された危険区域と、まだ探索されていない遺跡を示す記号がいくつも並んでいた。
「今夜はここで寝るな。明朝、新しい冒険が始まる」テルヘルの言葉に、ラーンとイシェは希望の光を感じた。彼らの運命は、この小さなビレーから始まるのだ。