ラーンの大斧が石壁を砕き、埃が立ち込める中、イシェは鼻をつまんで不機嫌な顔をした。「また無駄な作業じゃないの?この遺跡は本当に財宝があるのかしら?」
「大丈夫だ、イシェ。ほら見て!」ラーンは瓦礫の山をどかし、そこには光る金属片が落ちている。「これは…古代ヴォルダンのコイン!価値あるものが見つかったぞ!」
イシェはため息をつきながらも、コインを拾い上げた。「確かに価値はあるかもしれないわね。でも、テルヘルに渡せば、また何かの目的で使われちゃうんだろうな…」
「ああ、テルヘルはあの大穴に執念深いよな。ヴォルダンへの復讐にはどんな犠牲も厭わないって…。」ラーンの表情が曇り、イシェは彼の肩を軽く叩いた。
「ラーン、気にするなよ。僕たちはあくまで遺跡を探しているだけだ。テルヘルの目的と関係ないだろ?」
その時、洞窟の奥から不気味な音が響き渡った。
「何だあの音…? 」イシェが警戒すると同時に、ラーンの表情が硬くなった。
「これは…」彼は剣を抜き、イシェに言った。「逃げろ、イシェ!ここは危険だ!」
しかし、すでに遅かった。洞窟の奥から巨大な影が姿を現し、ラーンとイシェを飲み込むように襲いかかってきた。