ビレーの薄暗い酒場には、いつもより賑わいがあった。ラーンがイシェに声をかけると、彼女は眉間にしわを寄せた。「また遺跡に行くのか?あの廃墟、もう何も残っていないだろう」
「そんなことないよ!今回は必ず何か見つかるって気がするんだ!」ラーンは目を輝かせた。イシェはため息をつきながら、それでもラーンの背中に手を置いた。
「わかった。でも今回は本当に用心してね。あの遺跡は…」
イシェの言葉を遮るように、酒場の扉が開いた。テルヘルが凛とした表情で入ってきた。「準備はいいか?」
ラーンはニヤリと笑った。「もちろんだ!今日は大穴を掘るぞ!」
三人は夕暮れの薄明かりの中、廃墟へ向かった。朽ちた石造りの壁には、かつての栄華の名残がわずかに残っている。しかし、その目は空虚で、冷たい風が吹き抜けるだけであった。
テルヘルは古い地図を広げながら言った。「遺跡の奥深くに、何かあるはずだ。明かりを灯す装置を見つけ出せ」
イシェは懐中電灯を点けた。「この薄暗い場所で明かりがないと、何も見えないよ」
ラーンの剣が、石畳に反射する光でちらついた。「さあ行くぞ!」
廃墟の奥深くを進んでいくにつれて、空気が重く、不気味なものを感じた。イシェは背筋を寒気を感じながら、ラーンの後ろを歩いた。
やがて、彼らは広くて暗い部屋にたどり着いた。壁には奇妙な模様が刻まれており、床には石の板が敷き詰められていた。中央には、円形の祭壇があり、そこには何かが置かれていた。
「これは…」イシェは息を呑んだ。「何か古代の儀式に使われたものかもしれない」
テルヘルは祭壇に近づき、ゆっくりと手を伸ばした。「ここに何か隠されているはずだ…」
その時、祭壇から突然光が放たれた。部屋全体を明るく照らす、青白い光。それはまるで、この遺跡に眠っていた長い闇を打ち破るように、希望の明かりだった。