ラーンが、錆びた剣を片手に遺跡の入り口を見つめていると、イシェが後ろから肩を叩いた。「準備はいいか?今日は特に気をつけろよ。この遺跡は噂では…」
「またそんな話を始めたか。イシェ、いつもビビりすぎだ」ラーンは笑って答えたが、イシェの言葉に少しだけ心がざわつくのを感じた。日が暮れ始め、薄暗い遺跡内部は、わずかに差し込む光で不気味な影を落とす。
「あの光は何だ?」イシェが指差した先には、崩れた壁の隙間から漏れるかすかな光が揺らめいていた。「もしかして…」ラーンは息を呑んだ。
テルヘルが、鋭い目で壁の隙間を覗き込む。「これは…古代の技術だ。ここに何かがある可能性が高い」彼女は興奮気味に言った。「この明かりは、遺跡の奥へと続く道を照らす鍵になるかもしれない」
彼らの足取りは軽やかになった。明かりの導く先には、未知なる世界が広がっている。しかし、その光は同時に、彼らの中に潜む影も照らし出すようだった。ラーンの心には、過去の失敗と未来への不安が入り混じり、イシェの顔には、静かな緊張感が浮かんでいた。テルヘルは、復讐の炎を燃やしつつも、どこか悲しげな表情を浮かべていた。
明かりが彼らを導く道は、決して平坦ではない。