「おいラーン、今日は何探すんだ?またあの奇妙な石か?」イシェが眉間にしわを寄せながら、ラーンの荷物の隙間から覗き込んだ。ラーンは軽快に笑って、「いやいや、今回は大物だぞ!遺跡の奥深くにあると噂の、古代文明の秘宝!」と胸を張った。
「秘宝…?また夢物語か?」イシェはため息をついた。いつもラーンの豪語には付き合わされるのだ。しかし、最近彼の行動に変化を感じていた。以前なら無計画に遺跡に飛び込んでいたが、最近はテルヘルからの指示に従い、慎重に遺物を集めている。
「今日はテルヘルから、あのヴォルダンの遺跡に行くって聞いたぞ」イシェは少し緊張した様子で言った。「あの遺跡は危険だと言われているんだ。罠や呪いがいっぱいあるらしい」
ラーンは少しだけ表情を曇らせながらも、「大丈夫だ、俺たちにテルヘルがいるだろ?それに、あの遺跡から何か見つけ出せれば、昇格できるチャンスも高まるぞ!」と力強く言った。イシェはラーンの言葉に少し安心した。テルヘルの指示に従うことで、彼らには確かに昇格の可能性があるのだ。
だが、イシェの心には不安が拭いきれなかった。ヴォルダンの遺跡は危険すぎる。そして、テルヘルは一体何を探しているのか?イシェはラーンとテルヘルについていくうちに、自分の夢を諦めずにすむか、それとも彼らと一緒に危険な道を進むべきなのか、迷い始めていた。