ビレーの街はずれを流れる川沿いを、ラーンが力強く歩いた。朝露に濡れた草木が太陽の光を浴びて輝き、新緑の葉が風にそよいでいる。
「今日はいい日だなぁ」
ラーンの背後からイシェの声がする。「いい日だなんて言っていて、また遺跡でトラブルを起こすんじゃないだろうな?」
ラーンは苦笑しながら振り返った。「大丈夫だって、今回はテルヘルも一緒だしな。あの人の知識と経験があれば、大穴に近づけるはずだ!」
イシェはため息をついた。「あなたが大穴を夢見ているのはいいけど、現実的にならなきゃ。遺跡探索で稼いだ金はほとんど使い込んでるじゃないか」
「大丈夫、いつか必ず大穴を見つけ出すんだ!それに、今日は新しい遺跡の情報が入手できたんだぞ!テルヘルがヴォルダンから手に入れた情報らしい」
イシェは眉をひそめた。「ヴォルダン関係の情報に手を出すのは危険だ。何か企んでいるかもしれない」
「気にすんなって!あの情報を元に、今回は絶対に大穴にたどり着けるはずだ!」
ラーンは自信満々に前へ歩き出した。新緑の葉が風に揺れる風景を背に、3人は遺跡へと向かっていった。
テルヘルは少し後ろから二人を見つめていた。彼女の顔には冷静な表情が広がっていた。
「大穴」
その言葉は、彼女にとって復讐の鍵であった。ヴォルダンへの憎悪と、それを満たすための手段。彼女はどんな犠牲も厭わない覚悟でいた。
新緑の下、3人の運命はゆっくりと動き始めていた。