ビレーの朝焼けが遺跡に影を落とす頃、ラーンはイシェの眉間にしわを見つけてはため息をついた。「またあの顔か?今日は大穴が見つかる気がするぞ!」
イシェは小さくため息をつきながら、工具を整理した。「そう願いたいけど、昨日も前日もそうだったでしょう?」
「昨日はあの奇妙な石碑があったじゃないか!あれこそ大穴への手がかりだ!」ラーンは熱く語り始めたが、イシェはすでにその話を何度も聞いていた。
そんなやり取りをしていると、テルヘルが鋭い視線で二人を睨みつけた。「準備はいいですか?今日は時間がない。ヴォルダンの動きが早まっている。あの遺跡には何かあるはずだ。」
三人は遺跡の入り口に立った。湿った石畳と苔むした壁からは、歴史を感じさせる重圧が漂ってくる。ラーンは興奮気味に剣を抜き、イシェは慎重に周囲を観察し始めた。テルヘルは地図を広げ、複雑な記号を指さしながら指示を出す。
遺跡内部は暗く、湿った空気でいっぱいだった。ラーンの懐中電灯の光が壁に反射して、奇妙な影を作り出す。イシェは細心の注意を払いながら足元を確かめ、テルヘルは常に警戒心を持ちながら周囲を伺う。
突然、ラーンが声を上げた。「何かいるぞ!」
目の前で石板が崩れ落ち、巨大な虫のような怪物が現れた。鋭い牙と爪が光り、不気味な鳴き声で周囲を震わせる。ラーンの剣が光り、素早く敵に斬りかかった。イシェは機敏に動き回り、怪物への攻撃の隙を見つける。テルヘルは冷静に状況を判断し、隙を見て魔力を込めた矢を放つ。
激しい戦いが続く。ラーンの剣は怪物に何度も斬りかかるが、堅い甲羅には傷一つつけられない。イシェの機転で怪物がよろめき、テルヘルの矢が怪物に命中するも、致命傷には至らない。
その時、ラーンは冷静さを失い、剣を振り下ろす。しかし、その攻撃は空振りだった。怪物はラーンの背後から彼を襲い、鋭い爪で彼の腕を深く切り裂いた。ラーンの悲鳴が遺跡にこだました。
イシェは驚愕し、怪物に立ち向かう。テルヘルは冷静さを保ち、状況を分析する。彼女は怪物がラーンの傷口を狙い、さらに攻撃しようとしていることに気づき、ある決断を下す。
「ラーン、逃げろ!」
ラーンは一瞬ためらいを見せるが、イシェの必死の声で立ち去ることを決意する。イシェとテルヘルは怪物に立ち向かい、ラーンの逃亡を援護する。
ラーンは必死に走り、遺跡の外へと飛び出した。振り返ると、イシェとテルヘルの姿が見えた。二人は怪物と激しい戦いを繰り広げている。
ラーンの心には、イシェとテルヘルへの感謝の気持ちと、怪物との戦いが終わった後の未来への不安が入り混じっていた。そして、いつか必ず自分たちの力でこの戦いに勝つという決意を胸に秘めていた。