「よし、今日はあの崩れかけた塔だな」ラーンが目を輝かせた。イシェは眉をひそめた。「また大穴だなんて言ってる。あの塔は危険だって何度も言っただろう」。ラーンの肩を叩きながらテルヘルが口を開いた。「今回は違う。情報を得たんだ。塔の奥深くには、ヴォルダンが欲しがっていた古代の文章が眠っているらしい」イシェはため息をついた。「またヴォルダンか…」
ビレーを出発し、廃墟となった街並みを抜けると、崩れかけた塔がそびえ立っていた。ラーンの足取りは軽快だが、イシェは慎重に周囲を警戒する。テルヘルは古びた地図を広げながら、「ここだ」と指差した。「塔の内部には仕掛けがあるらしい。注意しろ」。
塔の中は薄暗く、埃が舞う。時折、石が崩れ落ち、不気味な音を立てる。ラーンは剣を構え、イシェは弓矢を構えた。テルヘルは先頭を歩き、地図を頼りに進んだ。「ここだ」とテルヘルが言った。扉の前に立つと、壁に刻まれた文様が光り始めた。
「これは…!」イシェが声を上げた。「古代文字だ!この塔は単なる遺跡じゃない。ヴォルダンが探しているものとは…」ラーンの瞳に興奮の色が宿った。「よし、開けろ!」ラーンが扉を押し開けると、そこには広大な書庫が広がっていた。無数の書物や巻物が所狭しと並んでいる。
「これは…!」テルヘルは息をのんだ。「ヴォルダンが探し求めていたものだ…」イシェは言葉を失い、ただ書物を眺めている。ラーンは興奮を抑えきれずに、「これで大穴だ!俺たちに莫大な財宝が…」と叫んだ。だが、その瞬間、塔の奥から不気味な声が響き渡った。