ラーンの大斧が遺跡の壁を粉砕し、埃が舞う中、イシェは薄暗い通路を慎重に進む。「ここには何もないだろう。」イシェの声は響き渡った。ラーンは苦笑しながら言った。「そうかもしれないけど、俺たちには運がいいって噂があるんだぞ!もしかしたら、次の部屋で巨大な宝石が眠ってるかもよ!」
イシェはため息をついた。「そんな夢物語に惑わされてばかりいるから、なかなか大穴が見つからないんだよ。」
その時、テルヘルが後方から声を上げた。「静かに。何かが近づいている。」
三人は互いに視線を交わし、緊張した空気が流れ始める。通路の奥から、重々しい足音が聞こえてきた。ラーンは斧を構え、イシェは短剣を抜いた。テルヘルは静かに、しかし鋭い視線で通路の先を見つめていた。
影が壁に映り始め、やがてその姿が現れた。巨大な鎧を纏った戦士だった。彼の顔は覆われており、手には巨剣が握られていた。敵将の風格を漂わせる存在だった。
ラーンは思わず息をのんだ。「これは…!」
テルヘルは冷静に言った。「ヴォルダンの兵だ。」
イシェは驚いて言った。「こんな場所に?一体何しに来たんだ?」
テルヘルは答える間もなく、剣を抜き、敵将へと突進した。ラーンとイシェもそれに続くように動き出す。三人は遺跡の狭い通路で、ヴォルダンの兵士との戦いを始めた。