ラーンの大笑い声とイシェのため息が、埃っぽい遺跡の奥深くまで響き渡った。
「ほら、言っただろ？必ず何か見つかるって！」
ラーンは興奮気味に、石の板を床に叩きつけた。その上には、複雑な模様が刻まれていた。イシェは眉間に皺を寄せながら、その模様をじっと見つめた。
「ただの装飾品じゃないかしら。またラーンの勘違いよ。」
「いや、違う！この模様、どこかで見たことがある…あ！」
ラーンの目は輝き、指を図示するように動かした。
「あの『失われた都市』の壁画に描かれていた記号と同じだ！もしかしたら、ここがその都市につながっている入り口なのかも！」
イシェはため息をつきながらも、内心では期待が高まっていた。ラーンが言うように、この遺跡は古くから噂のある場所だった。かつて栄えた文明が残したとされる遺物や、失われた技術の秘密が眠っていると信じられていたのだ。しかし、これまで多くの探検隊が訪れたにもかかわらず、何も見つからず、次第に忘れ去られた存在になっていた。
「でも、入り口なんてあるわけないでしょう。あの記号は単なる装飾で…」
イシェの言葉を遮るかのように、壁の一部分が光り始めた。それはまるで、散逸した光の欠片が再び集まり、輝きを取り戻すかのような神秘的な光景だった。
ラーンとイシェは目を丸くして見つめ合った。その瞬間に、壁に刻まれた模様が活気を帯び、まるで生きているかのように動き出した。そして、光と共に、壁の一部がゆっくりと沈み込み始めた。
「これは…！」
イシェは言葉を失った。ラーンの興奮を抑えきれない様子を見て、自分も少しだけ胸が高鳴った。
「さあ、イシェ！ついに大穴が見つかるかも！」
ラーンは興奮した声で言った。そして、テルヘルに指示を出した。
「テルヘル、準備はいいか？この遺跡の奥深くには、きっと素晴らしいものがあるはずだ！」
テルヘルは冷静な表情で頷きながら、剣を手に取った。彼女の目は、遺跡の奥深くに潜む秘密と、そこに眠る真実を探求するかのようだった。
三人は、光り輝く入り口へと足を踏み入れた。彼らの前に広がるのは、未知なる世界だった。