「よし、今回はあの崩れた塔だ。噂によると奥深くには未開の部屋があるらしいぞ」ラーンが興奮気味に地図を広げた。イシェは眉間に皺を寄せながら地図を睨んだ。「また荒れ果てた遺跡か？あの塔は魔物が出没するって話も聞いたぞ。危険すぎるんじゃないのか？」「大丈夫、大丈夫。俺が先頭を切って行くから安心しろよ！」ラーンは豪快に笑った。イシェはため息をつきながらも、いつものようにラーンのペースに巻き込まれてしまった。
そこにテルヘルが鋭い視線で2人を睨みつけた。「今回は慎重に進みましょう。ヴォルダンとの戦いは長期戦になる。貴重な力を無駄にするわけにはいかない」彼女の言葉にラーンとイシェは少しだけ姿勢を正した。テルヘルはいつも冷静沈着で、彼らの冒険を単なる遺跡探索以上のものへと導いていた。
塔内部は薄暗く、埃っぽい空気が立ち込めており、朽ち果てた石畳が足元を覆っていた。壁には奇妙な文様が刻まれており、イシェは背筋が凍るような感覚に襲われた。「ここは何か邪悪な力を感じます…」イシェは呟いた。ラーンはそんなことを気にせず、剣を構えながら先へ進んでいった。
奥深くまで進むにつれて、魔物の気配が濃くなった。巨大な蜘蛛のような怪物が現れ、ラーンと激しい戦いを繰り広げた。イシェは弓矢でサポートし、テルヘルは冷静に状況を見極めながら隙を突く攻撃を加えた。なんとか魔物を退けた後、3人は疲れた様子で一息ついた。「あの塔には何か秘密があるようだ」テルヘルは言った。「ヴォルダンが遺跡を調査する理由も、この塔にあるかもしれない」
彼らはさらに奥へと進み、ついに未開の部屋を発見した。部屋の中央には、輝く宝石が埋め込まれた祭壇があり、その周りには古代文字で書かれた石碑が並んでいた。ラーンは目を輝かせ、すぐに祭壇に手を伸ばそうとした。しかしイシェは彼を制止した。「待て！あの文字…これはヴォルダンに関する何かしらの政策を記しているかもしれない。触れる前に慎重に調べなければ…」
テルヘルも頷きながら石碑に目を落とした。その瞬間、部屋の奥から不気味な光が放たれ、壁に影が浮かび上がった。3人は息を呑んだ。そこに現れたのは、巨大なヴォルダンの軍旗と、それに続く無数の兵士の姿だった…