ラーンが石ころを蹴飛ばすと、イシェから「うるさい」と叱られた。いつもの光景だ。ビレーの遺跡探検隊、つまり彼ら三人は、今日も大穴を夢見て、灼熱の太陽の下で廃墟を歩いていた。
「ここだな」
テルヘルが地図を広げ、指差した先には崩れかけた石造りの門があった。かつては壮大な建造物だったのだろうが、今は風化と崩壊の荒波にさらされ、寂寥感漂う空気に包まれていた。
「また遺跡か…」
イシェはため息をつきながら、剣を構えた。ラーンは興奮気味に門をくぐろうとするが、テルヘルが制止する。「待て、罠の可能性もある」と冷静に警告した。
慎重に石畳を進み、内部へと足を踏み入れた。そこは広大な地下空間だった。天井から垂れ下がった蔦が薄暗い光を遮り、壁には剥落した壁画の断片が残るのみだ。かつて栄華を誇った文明の名残が、今は静寂の中に忘れ去られていたかのようだ。
「ここ、何かあった気がする…」
ラーンの視線が、奥へと続く通路に注がれた。そこには、石棺のようなものが放置されていた。
「宝箱かな?」
ラーンの目が輝き出すと、イシェは眉間に皺を寄せた。「慎重に確かめないと」と念を押したが、ラーンはもう動き始めていた。
しかし、その瞬間、床の石畳が崩れ落ち、ラーンは深淵へと転落していった。
「ラーン!」
イシェの叫びが、地下空間にこだました。テルヘルは冷静さを保ち、周囲を警戒しながら近づいていく。そして、崩れた床の下に、深い闇が広がる穴を発見する。
「ラーン!大丈夫か?」
イシェの声が響き渡るが、返事はなかった。
テルヘルは、この遺跡を深く調査し始めた。かつて栄えた文明が放棄され、忘れ去られた場所。その地下には、何が眠っているのか。そして、ラーンの運命は?