ラーンの巨大な剣が、石の壁に鋭く突き刺さった。埃が舞い上がり、轟音と共に崩落した壁の向こうから、イシェの声が聞こえた。「ラーン!大丈夫か?」
「ああ、なんとかな」ラーンは深呼吸し、剣を抜いて壁を支えるように立てかけた。「よし、これで通れるぞ!」
しかし、その瞬間、床に仕掛けられたトラップが発動した。鋭い棘が地面から突き上がり、イシェの足を捉えた。彼女は悲鳴を上げながら転倒した。
「イシェ!」ラーンは駆け寄ろうとしたが、同時に後ろからテルヘルの声が響いた。「待て!」
ラーンの背後からテルヘルが飛び出し、足元に置かれた小さな箱を取り上げた。「これは何だ?」ラーンは眉間にしわを寄せた。
テルヘルは冷静に答えた。「遺跡の罠解除装置だ。イシェを助け出すには、この装置のボタンを押す必要がある」
ラーンの視線はイシェに向けられた。彼女は苦痛で顔を歪めながらも、「早く…」と呟いた。
だが、その瞬間、床から新たな棘が突き上がった。テルヘルを捉えた。彼女は驚きと共によろめき、箱が手から滑り落ちた。ボタンを押すことは叶わなかった。
「テ、テルヘル!」ラーンは叫んだ。
イシェは必死に声を絞り出した。「ラーン…逃げろ…」
棘はテルヘルの身体を貫き、彼女は倒れ込んだ。その瞳には、憎しみと諦めの入り混じった光が宿っていた。
ラーンの怒りが爆発した。「テメー!」
彼は剣を振り上げた。目標は、イシェの足に刺さった棘だった。それを破壊すれば、彼女を助けられる。だが、同時に、それは彼自身も攻撃を受けることを意味していた。