「よし、今回はあの洞窟だな」ラーンが地図を広げ、指さした場所を示す。イシェは眉間にしわを寄せた。「また危険な場所を選んだじゃないか。あの洞窟は以前にも collapse が発生してるって聞いたぞ。」
「大丈夫だ、イシェ。俺が先頭に立って道を切り開いてやる」ラーンは自信満々に笑った。だが、イシェの目は彼の笑顔を捉えなかった。彼女はテルヘルの方を見る。「あの洞窟には何があるのですか？」
テルヘルは冷たい視線でイシェを見返した。「情報によると、そこにはヴォルダンが求めている古代兵器の一部が眠っていると聞いた。それを手に入れるために、私はあなたたちに協力してもらっているのです。」
ラーンの目は輝きを増した。「古代兵器か！それなら大穴になるぞ！」彼は興奮気味に剣を構えた。イシェはテルヘルの言葉に疑念を抱いた。古代兵器、ヴォルダン…。何か隠されていることがあるように感じた。
洞窟の入り口は狭く、湿った空気が立ち込めていて不吉な雰囲気だった。ラーンが先陣を切って進むと、イシェはテルヘルに小声で尋ねた。「本当に安全な場所ですか？」
「安全はありません」テルヘルは答えた。「でも、あなたがここで躊躇している間に、ヴォルダンが先にその兵器を手に入れるかもしれません。あなたはそれを望むのですか？」
イシェは言葉を失った。彼女はラーンの後ろをついて洞窟の中へと足を踏み入れた。
洞窟内は暗く、湿った石畳の上を進むと、足音が不気味に響き渡る。ラーンは先頭を走り、イシェとテルヘルは後を追う。道中、数々の罠が仕掛けられており、ラーンの力強い剣がそれを切り開いていく。
「ここだ」ラーンが突然立ち止まり、壁を指差した。そこには古代の扉があった。複雑な紋様が刻まれており、まるで生きているように感じた。
「ここに古代兵器があるのですか？」イシェは緊張した声で尋ねた。
テルヘルはうなずきながら、小さな宝石を取り出した。「これで扉が開くはずです」彼女は宝石を扉に当てると、扉はゆっくりと開いていった。
その先に広がる空間は、予想外の光景だった。そこには巨大な石像が立ち並び、その中央には光る球体が浮かんでいた。それはまるで、古代文明の心臓部のようなものだった。
「これが古代兵器か…」ラーンは息を呑んだ。
その時、背後から声が聞こえた。「いい仕事をしたな、テルヘル」
振り返ると、そこにはヴォルダン軍の兵士たちが立っていた。彼らは剣を抜き、ラーンとイシェを囲むようにして立ち尽くした。
「裏切られた…」イシェは絶望的な声で言った。
テルヘルは冷酷に笑った。「私は決してあなたたちを信用していませんでした。あなたがたは単なる駒に過ぎないのです」彼女はヴォルダン軍の兵士たちに指示を出した。「古代兵器を運び出せ！」
ラーンとイシェは絶体絶命の危機に瀕していた。しかし、ラーンの目は諦めの色を浮かべていなかった。彼は剣を握りしめ、テルヘルの言葉に反発するように言った。「俺たちを駒だと？そんなものにはさせない！」
彼はイシェの方を見つめ、力強く言った。「イシェ、一緒に戦うぞ！ 」