ラーンが豪快に笑う。「よし、今回は必ず大穴だ!イシェ、お前もそう思うだろ?」
イシェは眉間にしわを寄せながら、遺跡の入り口を見つめていた。「ラーン、またそんなことを言わないで。あの古い地図、本当に信頼できるのかしら?それに、今回はテルヘルさんの依頼だから、安易にリスクを取れないわ。」
「大丈夫だ、イシェ。テルヘルさんだって、大穴を見つけるって言ってくれただろ?」
テルヘルは鋭い視線で二人を見据えていた。「私は確信している。この遺跡には何かがある。そして、それは単なる金銭的価値ではない。」彼女の言葉に重みがあり、ラーンとイシェは思わず息を呑んだ。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。石畳の床には苔が生え、壁には謎の文字が刻まれていた。ラーンの足取りは軽快だったが、イシェは慎重に一歩ずつ進んでいた。テルヘルは二人よりも前に進んでいき、時折立ち止まって地図を確認していた。
「ここだ。」テルヘルが突然立ち止まり、壁の一点を指さした。「このシンボル、見たことがあるぞ。」
ラーンとイシェが近づいてみると、確かに壁に奇妙なシンボルが刻まれていた。それは複雑な幾何学模様で構成されており、どこか不気味な印象を与えた。
「これは…?」イシェは戸惑った様子で言った。「何か特別な意味があるのですか?」
テルヘルは頷いた。「このシンボルは、古代の文献に記されていた。それは…」彼女は言葉を濁した。「今はまだ言えない。しかし、この遺跡には大きな秘密が隠されている。」
彼らは慎重に壁を調べ始めた。すると、シンボルの下から小さな隙間が見つかった。ラーンが細長い棒でこじると、隙間が開き、中から小さな箱が出てきた。
箱を開けると、そこには輝く宝石がぎっしり詰まっていた。イシェは思わず声を上げた。「わぁ…!」
ラーンの顔も広がりをみせた。「やった!大穴だ!」
テルヘルは宝石を冷静に眺めて言った。「これは merely a part of the puzzle. 真の宝はまだ見つかっていない。」
ラーンの目は輝いていたが、イシェはどこか不安げに見つめていた。宝石は確かに価値のあるものだったが、テルヘルの言葉に示された「真の宝」とは何か?そして、その代償は何なのか?イシェは胸に不安を抱えたまま、遺跡の奥へと続く通路を進むのであった。
宝石の輝きは、彼らに喜びをもたらすと同時に、新たな支出への扉を開くこととなるだろう。