ラーンの豪快な笑い声が、埃っぽい遺跡の奥深くまでこだました。イシェは眉間に皺を寄せて、彼をにらんだ。「本当にここが最後の部屋だと確信したのか? 何度もそう言っては違う場所だったじゃないか」
「大丈夫だ、今回は違う!ほら、あの壁の模様、見たことないだろ?」ラーンは興奮気味に指さす。イシェはため息をつきながら壁を詳しく観察すると、確かに以前とは異なる複雑な模様が刻まれていたことに気が付いた。「よし、わかった。だが、今回は本当に最後の部屋だと確信してから動けよ」
テルヘルは静かに周囲を見回していた。彼女の鋭い目は、遺跡の奥底に潜む何かを感じ取っていた。ラーンとイシェのやり取りを軽く見下すように微笑んだ。「二人とも、まだ幼いですね。この遺跡が持つ真価は、財宝や遺物ではありません」
彼女はゆっくりと壁に触れ、複雑な模様をなぞるように指先を動かした。「この遺跡は、ある種の装置であり、それを操作する鍵が今、我々の前にあるのです」
ラーンの目が輝き始めた。「操作か?つまり、この遺跡から何かが使えるようになるってことか?」イシェはテルヘルの言葉に警戒心を抱いていた。彼女の目的は一体何なのか、まだ全てを明らかにしていない。だが、この遺跡の奥底には確かに何かがあると感じていた。
「さあ、二人とも準備だ。今こそ、真の姿を見せる時が来た」テルヘルは自信に満ちた声で言った。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。彼らもまた、この遺跡の秘密に触れることで、自分たちの運命が変わっていくのを感じていた。