「おい、ラーン!あの石碑の陰だ。何か光ってるぞ!」イシェの声がビレーの喧騒を一瞬忘れさせるほど興奮気味だった。ラーンの心臓は高鳴った。いつも通りの日暮らしの遺跡探索も、今日のこの場所だけは違った。テルヘルが持ち込んだ情報によると、ここはかつてヴォルダン軍に占領された村落跡地らしい。
「よし、行こう!」ラーンは剣を構え、イシェと共に石碑の陰へと潜り込んだ。薄暗い空間の中、脈打つような赤い光が彼らを待っていた。それは小さな水晶球だった。表面には複雑な模様が刻まれており、奇妙なエネルギーが放たれている。
「これは…!」テルヘルは目を輝かせながら水晶球を手に取った。「ヴォルダン軍が持ち去ったとされる『命の石』ではないか。噂では…」彼女は言葉を濁し、ラーンとイシェに意味深な笑みを浮かべた。「この石を手に入れれば、我々の目的達成に大きく近づき、お前たちにも大きな報酬が約束されるだろう」。
しかし、イシェはどこか不安を感じていた。テルヘルが「目的」のために何をしようとしているのか、その裏側にある真実を知りたくなかった。そして、この水晶球が本当に「命の石」なのか、あるいはヴォルダンを enrichment するための道具に過ぎないのではないかという疑念が頭をかすめた。
ラーンは興奮気味に水晶球を手に取った。「よし!これで大穴だ!」彼の目は輝いており、イシェの懸念をよそに、ただ目の前の利益だけを見つめていた。テルヘルは満足げに微笑んだ。彼女は彼らを巧みに操り、自身の目的のために利用する。この遺跡探索は、単なる遺物探しの旅ではなく、ある種の搾取が始まった瞬間だったのだ。