ラーンが石の埃をかぶりながら、懐中電灯の光を遺跡の奥深くへ向けると、イシェが小さくため息をついた。「またこんな薄暗い場所か…。本当にここで大穴が見つかるのかしら？」
「見つけるに決まってるだろう！ほら、あの壁の隙間、何か光ってるぞ！」ラーンは興奮気味に言った。イシェは彼の背後から、懐中電灯の光を当てて確認した。「ただの水晶 shardよ。大穴にはほど遠いわ」
テルヘルが後ろから近寄って来て、水晶 shardを手に取った。「確かに、大物ではないな。だが、この遺跡の構成から判断すると、奥深くで何か大きなものを見つけられる可能性は高い。諦めるな、二人は」彼女の目は冷たく光っていた。
ラーンの顔に自信を取り戻すような笑みが広がった。「そうだな！イシェも言ってたじゃないか？『いつか』大穴を掘り当てると！」
イシェは彼の言葉に苦笑するしか無かった。「あのね、ラーン…」
その時、地面が激しく揺れ始めた。石塵が舞い上がり、周囲の壁から崩落音が響き渡った。「何だこれは！」ラーンの顔色が変わった。イシェも驚きを隠せない。テルヘルは冷静に状況を判断し、近くの柱に身を寄せた。「遺跡が崩壊する可能性もある。落ち着いて行動しよう」
揺れは収まる気配を見せず、三人は不安げに互いの顔を見た。その時、ラーンの足元から、不気味な緑色の光が漏れてきた。「あれは…！」イシェの言葉が途絶える。光はみるみるうちに強くなり、地面を割って吹き上がってきた。
「逃げろ！」テルヘルの叫びが響き渡った。三人は同時に立ち上がり、崩れ落ちてくる天井から逃げるように走り出した。遺跡は今にも崩壊するかのようだ。揺れる足取りで、出口を目指して必死に駆け抜ける三人の姿は、まるで希望を掴もうとするかのような、狂おしいほどの力強さを持っていた。