ラーンの鼻息が荒くなった。「おい、イシェ、見てくれよ!これは一体なんだ?」
イシェは、ラーンの指差す方向を見た。薄暗い遺跡の奥深くで、奇妙な形状の石版が光り輝いていた。複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように脈打つかのようだった。
「聞いたことのない記号だ…。一体何を意味するんだろう?」イシェは眉間に皺を寄せた。
ラーンは興奮気味に石版に触れようと手を伸ばしたが、イシェは彼の腕をつかんだ。「待て、ラーン!触る前に調査が必要だぞ。この遺跡の罠には気をつけないと…」
その時、背後から冷たげな声が響いた。「いいでしょう、二人は。その石版はただの飾り物ではありません。」
ラーンとイシェが振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女の鋭い視線は石版を固定し、何かを察しているようだった。
「あの記号は、ヴォルダンの古代兵器の制御装置の一部を示唆しています。もしそれが真実なら、この遺跡にはとんでもない危険が潜んでいる可能性があります。」
ラーンの顔色が変わった。「古代兵器…?まさか…」
テルヘルは深く頷き、「この石版は、ヴォルダンに利用されるべきものではありません。我々はそれを奪取しなければならないでしょう。」
イシェは不安げな表情を浮かべた。「しかし、危険すぎるのではないか?ヴォルダンの兵器とは一体…」
「私は、この遺跡の真実を知っています。」テルヘルは静かに言った。「そして、その力を利用することで、ヴォルダンに復讐を果たせるかもしれません。」
ラーンの目は輝き、イシェも何かを感じ取ったようだった。彼らは、この遺跡がもたらす未来を前に、複雑な思いを抱きながら、新たな決意を胸に刻んだ。