「よし、今回はあの洞窟だ！」ラーンが目を輝かせ、イシェの地図を広げる指を指差した。それはビレーから程近い場所にある、危険な幻影が出ると噂される洞窟だった。
「また危険な場所か…」イシェはため息をつきながら地図を畳んだ。「あの噂は本当なのか？」
「そんなこと気にすんな！大穴が見つかるかもしれないんだぞ！」ラーンの言葉にイシェは苦笑した。彼の大穴への執念は、いつしかイシェ自身も巻き込まれるほどのものになっていた。
テルヘルは冷静に二人のやり取りを見つめていた。彼女の目的は遺跡探査ではなく、ヴォルダンに関する情報を得ることだった。洞窟の奥深くには、かつてヴォルダンが隠したという書物があると噂されていたのだ。
「準備はいいか？」ラーンの声でイシェの意識が戻った。彼女は小さなバッグを背負い、テルヘルと共に洞窟へと続く道を歩み始めた。ラーンは先頭を歩き、興奮気味に洞窟内部を見回していた。
洞窟は暗く湿っていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、不気味な影が揺らめいていた。イシェは背筋が寒くなるのを感じた。
「何か感じる…？」テルヘルが突然声を上げた。「何かが見ている気がする…」
その瞬間、洞窟の奥から複数の影が動き出した。ラーンは剣を抜き、イシェも準備を始めた。
「幻影か…」テルヘルは冷静に状況を判断した。しかし、その幻影は今までとは違う。動きが速く、攻撃的だった。
「気をつけろ！」ラーンの叫びが洞窟内に響き渡った。戦いの火花が散り始める。
イシェはテルヘルの指示に従い、後方から援護射撃を行う。テルヘルは冷静に幻影の動きを分析し、隙を狙う。ラーンは前線で奮闘し、その勇姿に仲間を鼓舞する。
激しい戦いの末、彼らは幻影を打ち倒した。しかし、洞窟の奥にはまだ何かが待っているような気がした。イシェは不安な気持ちを抱きながら、テルヘルと共にラーンの後を追いかけた。