「よし、今回はあの崩れた塔だ。地図によると奥に部屋があるらしいぞ」ラーンが興奮気味に言った。イシェは眉をひそめた。「また行き当たりばったり?あの塔は危険だって聞いたことがあるわよ。崩壊寸前らしいし」
ラーンは軽く肩をすくめた。「大丈夫だって、テルヘルが言うんだろ?」
テルヘルは薄暗い tavernの奥の席から彼らをじっと見ていた。テーブルに広げた地図には赤い印で塔の位置を示していた。
「確かに危険だ。だが、その奥にある部屋には価値のあるものがある可能性が高い。古い書物や遺物かもしれない」テルヘルは冷静に言った。「私は情報を得るために危険を冒す。お前たちは報酬のためだ」
ラーンの目は輝いた。「そうだな!大穴を見つけるのは俺たちの仕事だ!」イシェはため息をつきながらも、ラーンの熱意に押されるように頷いた。
次の日、三人は塔の入り口の前に立っていた。崩れかけた石造りの壁が、まるで巨大な骸骨のように空に向かって伸びている。
「あの…本当に大丈夫なのかしら…」イシェが不安そうに尋ねた。
「心配するな。俺たちは準備万端だ」ラーンは胸を張った。「テルヘルが言うには、この塔には罠があるらしいぞ。気をつけろよ」
テルヘルは鋭い目で周囲を見渡した。「私も何かを感じている。慎重に進もう」
三人は塔の中へ足を踏み入れた。石畳の上には埃が積もっており、薄暗い空気が重くのしかかっていた。崩れかけた壁から風を遮るように雑木が生い茂り、不気味な影を作っていた。
「何かいる…」イシェが小さく呟いた。ラーンは剣を構え、周囲を警戒した。テルヘルは静かに手を上げ、何かを察知しているようだった。
「提案だ」テルヘルは低い声で言った。「この塔には三つの部屋がある。一つ目は罠でいっぱいらしい。二つ目は遺物で溢れているらしい。そして三つ目は…」
ラーンの顔色が変わった。「三つ目は?」
テルヘルは目を細めた。「三つ目は謎に包まれている。だが、そこには何らかの秘密が隠されていると確信している」