ビレーの朝はいつも早かった。ラーンがイシェを起こしにいく前に、すでに太陽が街を照らし始めていた。
「起きろ、起きろ！今日はいい日になりそうだぞ！」
ラーンの豪快な声で目を覚ましたイシェはため息をついた。「また大穴の話か？」
「いや、今日は違う。今日はきっと何か面白いものが見つかる予感がするんだ！」
イシェはそんなラーンの熱意に少しだけ心を動かされた。いつも通り、ビレーの市場で朝食をとった後、彼らはテルヘルと合流した。
「今日はどこへ行くんだ？」イシェが尋ねると、テルヘルは地図を広げ、ある場所を指さした。「古い遺跡だ。まだ誰も調査していないらしい。」
ラーンは目を輝かせた。「よし！これは楽しみだ！」
遺跡への道は険しく、荆棘が生い茂り、獣の足跡があった。それでも3人は着実に進んでいった。ついに、遺跡の入り口にたどり着いた時、イシェは少し不安になった。そこはまるで時間が止まったかのような静寂で、不気味な雰囲気が漂っていた。
「ここ、何か変だ…」
ラーンの表情も少し曇った。「気にすんな。大穴が見つかれば何でも帳消しだ！」
テルヘルは冷静に周囲を見回した。「気を引き締めていなさい。何かあったらすぐに合図を。」
遺跡内部は暗く、湿った空気で充満していた。壁には謎の文字が刻まれており、床には崩れかけた石像が転がっていた。ラーンが宝箱を発見し、興奮気味に開けようとすると、突然、床から黒い煙が立ち上り始めた。
「何だこれは！」
煙が渦巻くと共に、遺跡の中心に巨大な影が現れた。それは巨大な蛇のような姿で、赤い目が光り輝いていた。ラーンは剣を抜き、イシェも daggers を構えた。テルヘルは冷静に状況を判断し、影に向かって魔法の弾丸を飛ばした。
激しい戦いが始まった。ラーンの力強い攻撃、イシェの機敏な動き、テルヘルの魔法が織りなす連携プレーで、彼らは巨大な影と対峙した。しかし、影は強力で、簡単には倒せなかった。
その時、イシェは遺跡の壁に刻まれた文字の意味を思い出した。「これは警告だ！この遺跡は封印されているのだ！」
イシェはラーンとテルヘルにその事実を伝え、遺跡から逃げることを提案した。3人は力を合わせて影をかわし、遺跡から脱出することに成功した。
太陽が沈み始めた頃、ビレーに戻った3人。彼らは疲弊していたが、生きて帰れたことに安堵した。
「あの影は一体何だったんだ？」ラーンは息を切らして言った。
イシェは答えられなかった。しかし、あの遺跡の謎と巨大な影の存在は、彼らの心に深く刻まれた。そして、次の探検への期待と不安を抱えたまま、彼らは今日もビレーの街に暮らすことになった。