ラーンが大きなハンマーで岩盤を叩き割ると、埃と石塵が舞った。イシェは咳払いしながら「また無駄な労力をかけているわね。あの奥の通路は崩落してて通れないって何度も言ったじゃない」と眉間にしわを寄せた。
「いや、ほら、もしかしたら何かの仕掛けで開くかも！ほら、この壁面にも何か刻まれてるぞ！」ラーンは熱心に壁を指さす。イシェはため息をつきながら、その様子を冷静に見つめた。「あの刻印はただの自然の模様よ。何度か探査したはずなのに…」
その時、テルヘルが背後から低い声で言った。「何か見つけた」。彼女は石畳の下に埋められた小さな金属製の箱を手に持っていた。「これは…ヴォルダン軍で使用していた暗号通信装置だ」
イシェは驚いて「そんなものが…」と呟いた。ラーンの顔も真剣になった。「ということは、この遺跡にはヴォルダン軍が何かを隠していたってことか？もしかしたら…」
テルヘルは静かにうなずきながら箱を開け始めた。その中には、地図ではなく、一枚の羊皮紙が入っていた。そこに描かれていたのは、複雑な模様と記号だった。イシェは眉をひそめた。「これは…？」
「探査の結果、この遺跡に眠る遺物はただの宝ではないようだ」テルヘルは冷たく言った。「ヴォルダンが何を探していたのか、そしてその目的は何か…それが明らかになる時、我々の運命も大きく変わるだろう」