「よし、今日はあの崩れかけの塔だな。イシェ、地図見て、安全な侵入ルートを探してくれ」ラーンが陽気に言った。イシェは眉間に皺を寄せながら地図を広げた。
「また危険な場所か…」彼女は呟きながら、塔の構造図に目を落とす。「崩落箇所が多い上に、内部には罠が残されている可能性もある。慎重に進まないと…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が前を切ってやるから」ラーンは豪快に笑った。彼の目は興奮で輝いていて、イシェはいつものようにため息をついた。
「いつも、ラーンの計画は『行く』だけだ」テルヘルが冷めた口調で言った。「今回は私が指示を出す。安全第一だ。無駄なリスクは取らない」
ラーンは少しだけ pout したが、テルヘルの鋭い視線に負け、うなずいた。イシェはテルヘルの存在を内心感謝した。彼女は冷静さと経験豊富なテルヘルがいなければ、ラーンの無茶な行動に巻き込まれ続けることだろう。
塔の入り口に着くと、朽ち果てた石門が崩れかけている。ラーンが無理やり門をこじ開けようとした時、テルヘルは彼の腕を掴んだ。「待て。まず、罠がないか確認する」彼女は慎重に周囲を観察し、足元の石畳に仕掛けられた細い紐を見つけた。
「ここには糸が張られている。踏むと石が落下してくる仕掛けだ」テルヘルは冷静に説明した。ラーンは驚いて後ずさった。「危ないところだったな…」彼は少し顔色が変わった。イシェも深く頷いた。
テルヘルの鋭い観察力と冷静な判断のおかげで、彼らは無事に塔内部へと侵入できた。しかし、塔の奥深くには、さらに危険な罠が待ち受けていたのだ…。