「おいラーン、あの尖った石は何だ?」イシェが地面に落ちている奇妙な石を指さした。ラーンは肩をすくめた。「知らねえよ。拾っておけばいいんじゃないのか?いつか役に立つかもって。」
イシェはため息をついた。「いつもそう言うじゃないの。この遺跡、何かあったら危険だぞ。あの教義書にも書いてあるだろ?」
ラーンはイシェの言葉に耳を傾けながらも、石をポケットに放り込んだ。「ああ、あの教義書か。授業で習ったことしか覚えてないよな。先生も言ってたじゃないか、遺跡探検には実地経験が大事だって。」
「でも…」イシェは言葉を濁した。ラーンの無計画さにいつも不安だった。だが、彼の行動力と明るさは、時にイシェ自身を奮い立たせる力にもなっていた。
その時、背後から声が聞こえた。「おい、二人とも。準備はいいか?」テルヘルが鋭い目を光らせて二人を見つめていた。「あの奥の部屋に何かあるらしい。危険だと言われているが、大物になる可能性もある。」
ラーンの顔色が変わった。「よし、行こうぜ!」
イシェは不安を感じながらも、ラーンとテルヘルの後をついて遺跡の奥深くへと進んだ。
「あの教義書には、遺跡は過去から学ぶための場所だと書いてあったよな…」イシェは心の中で呟いた。だが、目の前に広がる未知の世界は、授業で学んだ知識では到底理解できないものだった。