ラーンの粗雑な剣 swing が埃を巻き上げ、遺跡の奥深くへと響き渡った。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の後ろをついていく。「本当にここが正しいのか?あの奇妙な記号は、確かにこの方向を示しているはずだが…」
「大丈夫だ、イシェ。俺の勘が間違いない。ほら、あそこに何かあるぞ!」ラーンは興奮気味に、崩れかけた石柱を指さした。そこには、ひび割れた石版が置かれており、不思議な模様が刻まれていた。
「これは…?」イシェが慎重に石版に触れると、その表面から微かな光が放たれ、部屋全体を不気味な色で染めた。「何か反応した…!」
その時、背後から冷たく低い声が響き渡った。「何だ、これは…」テルヘルが鋭い視線で石版を見つめていた。彼女の後ろには、黒ずんだ鎧を纏った男たちが控えている。「この遺跡はヴォルダンが探し求めているものと繋がる可能性がある。我々が見つけたことを報告する必要はないだろう。」
イシェは緊張した表情でラーンに視線を向け、「これは…罠かもしれない…」とささやいた。ラーンの顔色が一瞬曇るも、すぐにいつもの豪快な笑みに戻った。「大丈夫だ、イシェ!俺たちは逃げ足が速いだろ?それに、テルヘルさんがいるじゃないか!」
テルヘルは石版をじっと見つめ、「この記号…ヴォルダンが追っている『失われた王家の秘宝』に繋がる可能性が高い」と呟いた。その目は冷酷な光で輝いていた。「我々はこの遺跡を調査し、ヴォルダンの動きを探る必要がある。そして、彼を打ち砕く手がかりを得るのだ…」
ラーンはテルヘルの言葉に頷き、剣を構えた。「わかった!俺たちを邪魔するものは全て斬り捨ててやる!」イシェも小さく頷き、二人はテルヘルと共に遺跡の奥深くへと進んでいった。彼らの背後には、ヴォルダンの影が忍び寄っていた…。