「おいラーン、あの石碑は触るな！」イシェの警告が遅かった。ラーンが石碑に手をかけると、床が突然崩れ、三人は暗闇の中へと落下した。
「ぐっ…！どこだこれは…」ラーンの声が響く。イシェは目をつぶって周囲を確かめた。「狭い洞窟みたいだ。天井は低いし、足元も不安定だ」
「おい、テルヘル、何か分かるのか？」ラーンが声をかけたが、返事はなかった。イシェは焦りを感じた。テルヘルはいつも冷静沈着なのに、今回は様子がおかしい。「テルヘル！」イシェが声を張り上げると、かすれた声が聞こえた。「…ここにいる」
テルヘルの声は震えていた。「足元を注意しろ…」
イシェはテルヘルの言葉を聞いて足元を見ると、石畳の床に何かが描かれていた。それは複雑な紋章で、不気味な光を放っている。
「これは…！」イシェは息をのんだ。この紋章は、かつてヴォルダンが使用していたという伝説の魔紋だ。
その時、洞窟の奥から低い唸り声が聞こえた。石畳の上で何かが動き出した。それは巨大な影だった。ラーンが剣を構える。「何だこれは…！」
影が近づき、その正体が明らかになった。それは、ヴォルダンの兵士だった。彼らは捕虜としてこの洞窟に閉じ込められていたのだ。
「待て！」イシェは叫んだ。「我々は敵ではない！誤解だ！」
しかし、兵士たちは耳を貸さず、剣を振り下ろした。ラーンは剣で parry し、イシェは素早く身をかわした。テルヘルは影から姿を現し、呪文を唱えた。
激しい戦いが始まった。ラーンとイシェは兵士たちと戦い、テルヘルは強力な魔法で彼らを抑えようとした。しかし、兵士たちは多く、次第に追い詰められていく。
その時、ラーンの剣が兵士の鎧に引っかかった。兵士はバランスを崩し、転倒した。その隙にイシェが攻撃し、兵士を倒した。
「よし！これで…」ラーンの言葉が途絶えた。兵士たちの後ろから、新たな影が現れた。それは、ヴォルダンの将校だった。彼は冷酷な笑みを浮かべて言った。「ようこそ、捕虜たち」