ラーンの大斧が埃を巻き上げながら遺跡の奥深くへと切り込んだ。石畳を剥がすように巨大な扉が開き、彼らを待っていたのは広大な地下空間だった。イシェは薄暗い空間に目を凝らし、壁一面に描かれた複雑な模様を解析しようと努めた。
「何だこれは…」
ラーンの声に振り返ると、彼はすでに扉の奥へと進んでおり、興奮気味に何かを指さしていた。そこには金色の光を放つ巨大な宝箱が置かれていた。
「 jackpot! これで俺たち大金持ちだ!」
ラーンは興奮した様子で宝箱に駆け寄るが、イシェは彼の背後から静かに声をかけた。
「待て、ラーン。あの模様…何か変だ。」
イシェは壁画の複雑な図形を指さし、眉間に皺を寄せた。
「これは…警告文かもしれない。宝箱に触れると何かが起こる可能性もある…」
しかしラーンの耳には届いていなかった。彼はすでに宝箱の蓋を開けようとしていた。イシェが必死に制止しようとしたその時、地面が激しく揺れ始めた。天井から石が崩れ落ち、ラーンはよろめきながらバランスを保とうとした。
「何だこれは!?」
イシェは恐怖を抑えつつ、崩壊する遺跡の様子を冷静に観察した。壁画の警告文を思い出し、背筋が凍りついた。
「ラーン、あの宝箱を開けるな! 逃げるんだ!」
イシェの声がかすかに届いたのか、ラーンは宝箱から手を離し、イシェと共に出口へと走り出した。崩れ落ちる遺跡の中を必死に逃げ続け、ようやく地上にたどり着いた時、二人は息も絶え絶えになっていた。振り返ると、遺跡はすでに塵と化した。
「あの宝箱…結局何だったんだろう…」
ラーンは肩を落とし、後悔の色を浮かべて言った。イシェは彼の言葉に深く頷きながらも、何か別のものを感じていた。あの警告文、そして遺跡の崩壊様式…何かが amiss と感じさせるものがあったのだ。
「あの遺跡には、まだ何か秘密がある…」
イシェはそう呟きながら、振り返りもしないで歩き始めた。ラーンの後ろ姿を見つめながら、彼女は新たな探求への決意を胸に秘めた。