ラーンが石畳の上で剣を片手に大声を上げて笑い飛ばした。「おい、イシェ、見てみろよ!こんなの宝石じゃねえのか?」彼の足元には、遺跡の奥深くから掘り起こされた、奇妙に輝く石塊があった。イシェは眉間にしわを寄せながら、石塊を慎重に見つめた。「ラーン、落ち着いて。それが本当に価値があるものなのかはわからない。それに、テルヘルが言ってたように、ここはヴォルダンが関与している可能性もあるんだぞ。持ち帰る前に確認すべきだ」
だがラーンの耳には届かない。彼は興奮した様子で石塊を手に取ると、「これで俺たちに大穴が見つかるぞ!」と叫び始めた。イシェはため息をつきながら、テルヘルに視線を向けた。彼女は冷静な表情で石塊を指さし、「確認が必要だ」と言った。「ヴォルダンが関与している可能性がある場合、持ち出す前に慎重な判断が必要です。指呼の力を使う必要があるかもしれません」
テルヘルはそう言うと、小さな革袋から粉末状のものを取り出した。それは彼女が密かに保管していた、強力な魔力を秘めたものだった。イシェはテルヘルの行動に驚きを隠せなかったが、ラーンの無謀さを考えると、彼女の方法も理解できた。危険を冒してでも、この石塊の真実に迫る必要があったのだ。
ラーンは石塊を握りしめ、興奮を抑えきれずにいた。「よし、確認だ!これで俺たちの未来が決まるぞ!」彼はそう言って、テルヘルが用意した粉末を石塊にまぶし始めた。すると、石塊から淡い光が放たれ、周囲の空気を震わせるように広がっていった。その瞬間、ラーンの表情は硬直し、イシェは息をのんだ。石塊の真の姿、そしてそれがもたらす未来は、想像をはるかに超えるものだった。