指先

指の先端部分。

物語への影響例

繊細な感覚と精密な操作の象徴。接触と探索の道具。創造性の物理的延長。

生成サンプル(サンプルの仕様

ラーンの粗雑な剣の扱いにイシェが眉をひそめた。遺跡の奥深くへと続く狭い通路では、ラーンの動き一つが埃を巻き上げ、イシェの視界を遮る。

「もう少し慎重にしろ、ラーン。あの石碑には触れないで」

イシェの注意も虚しく、ラーンはすでに石碑に手を伸ばしていた。彼の指先は、まるで巨大な岩肌を撫でるように石碑をなぞり、表面の苔や塵を払いのけた。

「どうだ?何か書いてあるか?」

イシェが近づき、石碑に刻まれた文字列をじっと見つめた。複雑な文様と記号が組み合わさっており、彼女には理解できない。ラーンの指先が再び動き、石碑の側面にある凹みをなぞり始めた。

「これは…何か仕掛けか?」

イシェは不安げに言った。ラーンは意に介さず、指先で凹みを押し込んだ。すると石碑全体がわずかに震え、壁面の一部がスライドした。

その隙間から差し込む光に、イシェは息を呑んだ。そこには金色の宝箱が置かれていた。

「やった!大穴だ!」

ラーンの叫び声が通路にこだました。興奮気味に宝箱を開けようと手を伸ばすラーンを、イシェは引き止めた。

「待て!罠かもしれない」

しかし、ラーンの耳には届かなかった。彼はすでに指先で宝箱の錠をこじ開けようとしていた。その瞬間、床から鋭い棘が伸び上がり、ラーンの足を貫く。

ラーンは悲鳴を上げながらよろめき、イシェに助けを求めるように手を伸ばした。しかし、イシェは動かなかった。彼女の視線は、ラーンの指先からゆっくりと滴り落ちる血に向けられていた。その鮮やかな赤が、遺跡の薄暗い空間を不気味な輝きで満たしていた。