ラーンが岩盤を叩き割ると、埃が舞う中から鈍い光が漏れた。
「おい、イシェ!見てみろ!」
ラーンの興奮した声が反響する狭い通路。イシェは懐中電灯の光を向けると、床に置かれた古びた箱を確認した。
「また古い宝箱か…。期待しないでくれよ。」
イシェはため息をつきながら箱を開ける。しかし、中にあったのは金貨や宝石ではなく、金属製の奇妙な装置だった。複雑な模様が刻まれた装置は、まるで機械仕掛けの鳥のようにも見えた。
「何だこれは…」ラーンが装置を手に取ろうとしたその時、イシェが制止した。
「待て!触るな!」
イシェは本能的に危険を感じたのだ。装置にはわずかな光が脈打つように流れ、不気味な音色がかすかに聞こえてくる。
その時、通路の奥からテルヘルが姿を現した。彼女は鋭い視線で装置を睨みつけ、口を開いた。
「これは…ヴォルダン帝国の遺物だ。」
テルヘルの言葉にラーンとイシェは面を食らった。ヴォルダン帝国といえば、かつて世界を支配した強力な国であり、その技術力は伝説とされていた。
「この装置は一体何なのか?」ラーンの問いに、テルヘルは答えた。
「拘束装置だ。強力なエネルギーを封じ込めるために用いられる。」
「封じ込める…?どういうことだ?」イシェが不安げに尋ねると、テルヘルは少しだけ表情を硬くした。
「この装置には、ヴォルダン帝国が研究していた危険な力…それが封印されているのだ。もし解放されたら…」
テルヘルは言葉を濁すように言ったが、ラーンとイシェの顔色は青ざめた。
その時、装置から強い光が放たれ、通路全体を照らし出した。同時に、装置に刻まれた模様が回転し始めた。
「やばい!逃げろ!」
ラーンの叫びと共に、三人は近くの壁に身を隠した。しかし、光はますます強くなり、彼らの体を押しつぶすように襲いかかってきた。
拘束装置の封印が解かれたのだ。