ラーンの大斧が石壁を粉砕した。埃が舞う中、イシェは鼻をつまんで「また無駄だ。あの壁には仕掛けがあるはずだ」と呟いた。ラーンは苦笑し、「そんなこと言ってると宝が見つからないぞ！ほら、テルヘルも待ってるぜ！」と、奥へと進んでいった。
テルヘルはいつも冷静だった。地図を広げ、遺跡の構造を分析する。彼女の目は鋭く、わずかな変化にも敏感だ。彼女はヴォルダンに全てを奪われた痛みを知り、その復讐のためにはどんな手段もいとわない。だが、ラーンとイシェには、まだ抵抗力があるように見えた。
「ここだ」テルヘルが指差した場所には、古びた扉があった。「この扉を開けば、遺跡の奥にある部屋に繋がるはずだ」彼女は言った。しかし、扉は頑丈で、簡単には開かないようだった。「何か仕掛けがあるに違いない」イシェが慎重に扉を調べ始めた。
その時、突然、床から毒ガスが噴き出した。ラーンは素早くイシェを引っ張り、自ら盾となって毒ガスを防いだ。苦しみながら、「イシェ、逃げろ！」と叫んだ。
イシェは一瞬ためらった。ラーンの抵抗力に驚かされた。いつも無茶ばかりする男だったが、仲間を守るために命懸けで立ち向かう姿には、彼の真の強さを感じた。
イシェは立ち上がり、テルヘルと共に扉を開けるための仕掛けを探し始めた。毒ガスの中、ラーンは苦しみながらも立ち向かっていた。彼を助けるため、イシェとテルヘルは力を合わせた。 抵抗力に満ち溢れたその姿に、希望が芽生えた。