ビレーの tavern の薄暗いテーブルの上で、ラーンが酒をぐいっと飲み干す。イシェは眉間にしわを寄せながら彼を見つめていた。
「本当に大丈夫なのか？あのテルヘルは怪しいぞ。あんな高額の日当、そんなに簡単に払えるわけないだろ」
ラーンの豪快な笑い声が tavern に響いた。「大丈夫だって！俺たちが遺跡から大物を持ち帰れば、いくらでも払えるって。それに、あのテルヘルの目は本物だ。俺には分からんけど、何か大きなことを企んでいるのは確かだな」
イシェは納得しなくとも、ラーンの決意を覆すことはできなかった。彼らはテルヘルに従い、広大な遺跡へと足を踏み入れた。遺跡内部は、朽ち果てた石柱や崩れかけた壁で構成され、薄暗い光が不気味に影を落とす。
「ここには何かあるはずだ」
テルヘルはそう言いながら、古びた地図を指さした。彼女の鋭い瞳は、まるで遺跡の秘密を見透かしているようだった。ラーンは剣を構え、イシェは慎重に周囲を観察する。彼らはテルヘルの指示に従い、遺跡の奥へと進んでいった。
しかし、進むにつれて、イシェの不安は募っていく。遺跡の構造は複雑で、何処かで迷宮のような錯覚を起こすような仕掛けが施されているように感じた。
「何か変だぞ…この遺跡、俺たちを誘導している気がする」
イシェの声にラーンが振り返った。「何を言ってるんだ？そんなわけないだろ！」
その時、壁の奥から不気味な音が聞こえてきた。それはまるで、何者かが抵抗するような、うめき声だった。
「あれは…」
ラーンの顔色が変わる。テルヘルは冷静さを保ちながら、剣を構えた。
「何者かがいるようだ。警戒しろ！」
彼らはゆっくりと音のする方向へと歩み寄る。壁の向こうから、かすかに光が漏れているのが見えた。
イシェはラーンに小さく声をかけた。「ラーン…何か変だぞ…」