「よし、今回はあの崩れた塔だな!」ラーンが、興奮気味にビレーの地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せて地図を睨み、「また危険な場所かい? 今回は慎重に調査したいんだけど…」と呟いた。
「慎重なんて言ってても、結局最後は俺が先陣切るのにな! いいか、イシェ、今回は大穴が見つかる予感がするんだ!」ラーンは自信満々に笑った。イシェはため息をつきながら、「そう言うからいつもトラブルに巻き込まれるのよ…」と呟いた。
そこにテルヘルが、鋭い目で二人を見据えて入ってきた。「準備は良いか? 今回はあの塔には特別な遺物があるらしい。ヴォルダンが欲しがっているものだ」
「ヴォルダンって…またあの大国か?」ラーンは顔をしかめた。「俺たちと関係ないんじゃないのか?」
テルヘルは冷たい視線を向ける。「関係がないわけではない。今回の報酬は今までより倍だ。それに、この遺物を手に入れることができれば、ヴォルダンへの復讐に一歩近づく」
イシェが不安そうに口を開こうとした時、ラーンが割り込んだ。「わかった! 報酬も魅力的だし、 besides…俺たちには他に選択肢がないよな?」
イシェはラーンの言葉に少しだけ安心した。だが、彼女の心の中には、冷たい影が忍び寄るような気がした。
崩れた塔の入り口で、ラーンとイシェはテルヘルから渡された地図を確かめていた。「ここが遺物の場所か…」イシェは地図を指差した。
「よし、俺が先に行くぞ!」ラーンの背中に、イシェは不安な視線を向ける。
塔内は暗く湿っていて、埃っぽい空気が漂っていた。一歩進むごとに、重苦しい雰囲気に包まれていくようだった。
突然、床の一部が崩れ、ラーンが深淵に落ちていった。「ラーン!」イシェの叫びが塔内に響き渡った。
「大丈夫か? ラーン!」テルヘルも駆け寄ってきた。しかし、ラーンの姿は既に闇の中に消えていた。
イシェは恐怖と絶望でいっぱいになった。しかし、彼女はラーンを助けなければいけない。そして、テルヘルは何かを知っているはずだ…。