ラーンの粗雑な斧の一撃が埃を巻き上げ、奥の部屋へと続く崩れた壁の一部を粉砕した。イシェは眉間に皺を寄せながら、咳き込んだ。「もう少し丁寧に扱えばいいのに…」
「ほら、文句言うな。早く宝探しだ！」ラーンは陽気に笑うが、彼の瞳には少しばかり焦りが見え隠れしていた。最近、遺跡探索の依頼は減っており、日々の生活費を稼ぐのがやっとだった。
テルヘルは、崩れた壁の奥を鋭い視線で確かめていた。「ここには何かあるはずだ」と彼女は呟いた。彼女の言葉に重みがあったため、ラーンとイシェも期待を高めて部屋の中に入っていった。しかし、そこには何も無かった。空っぽの石室だった。
「なんだよ…また外れか？」ラーンの肩が落ち込んだ。「もういい加減に、大穴を掘り当てたいんだ！」
テルヘルは冷静に言った。「焦るな。遺跡は常に謎と危険で満ちている。私たちはそれを解き明かすためにここにいるのだ」
イシェは壁に目をやった。「でも、何か違う気がする…」
その時だった。壁の一部分から微かな光が漏れていることに気づいた。イシェが近づいてみると、その光は小さな隙間から差し込んでいるもので、隙間を埋めている石には奇妙な模様が刻まれていた。
「これは…何かしらの記号だ」イシェは言った。「もしかしたら、この遺跡の真の姿を解き明かす鍵になるかもしれない」
ラーンはイシェの言葉を聞いて興奮した。「よし！早速開けてみよう！」しかし、テルヘルは彼を制止した。
「待て、ラーン。この記号の意味を理解する必要がある。無闇に手を出すと危険だ」
イシェは冷静に考えながら言った。「この記号は…抑圧された何かを表しているようだ。もしかしたら、この遺跡には何らかの秘密が隠されているのかもしれない…」
テルヘルは深く頷いた。「その可能性は高い。そして、その秘密を解き明かすためには、我々は協力しなければならない」
ラーンの表情は少し曇った。「協力か…。」彼はいつも通り自分の思い通りにならないことに苛立ちを感じていた。しかし、イシェとテルヘルの冷静な判断に、彼は begrudgingly 従うことを決意した。彼らはこの遺跡の謎を解き明かすために、力を合わせて進んでいくことになるだろう。
彼らの前に広がるのは、未知なる危険と、そして、抑圧された真実への道だった。