「よし、今日はあの遺跡だな！」ラーンの豪快な声がビレーの朝にこだました。イシェはため息をつきながら、いつものように準備を始めた。
「また大穴の話か？」
「いつか必ず掘り当ててやるぞ！お前も一緒に大金持ちになるんだ！」
ラーンは目を輝かせながら剣を手に取った。イシェは彼の熱意に押されるように、小さな道具類を satchel に詰め込んだ。
テルヘルは二人を見下ろすように立っていた。「今日は慎重に。あの遺跡はヴォルダン軍が調査していたという噂だ。」
「ヴォルダンって…」ラーンは眉間に皺を寄せた。イシェはテルヘルの言葉を真剣な表情で受け止めた。
遺跡への道は険しく、足元を滑りやすい石ころが敷き詰められていた。イシェは慎重に一歩ずつ進んだが、ラーンはいつものように先頭を走り抜け、時には危うく転びそうになることもあった。テルヘルは彼らを後ろから見守りながら、地図を広げて確認していた。
遺跡の入り口には、朽ち果てた石造りの門があった。門の上には、奇妙な紋章が刻まれていた。イシェは紋章をじっと見つめた。どこかで見たような気がしたのだ。
「ここは…」テルヘルが口を開こうとしたその時、地面が激しく揺れ始めた。ラーンがよろめきながら立ち直ると、崩れ落ちた門の奥から奇妙な光が漏れてきた。
「何だ？」ラーンの声は緊張していた。イシェも不安を隠せない。
テルヘルは冷静に言った。「罠だ。慌てずに、計画通りに行こう。」
彼らは慎重に門を進んだ。遺跡内部は広くて暗く、壁には不気味な絵画が描かれていた。床には、まるで機械の歯車のような複雑な模様が刻まれており、イシェはそれをじっと観察した。どこかで見たような…そう思った瞬間、脳裏に過去の記憶が蘇った。
かつてイシェは、祖父から古い書物をもらったことがあった。そこには、古代文明の技術について記されていた。そして、その技術は「遺跡」と呼ばれる場所と密接な関係があったという。
イシェは急いでテルヘルに話しかけた。「あの模様…もしかしたら…」
その時、床から光が放たれ、機械的な音が響き渡った。壁の上から巨大な石板がゆっくりと下降してきた。ラーンは剣を抜いて構えたが、イシェは冷静さを保ち、石板の動きを注視した。
石板には複雑な模様が刻まれており、まるで歯車のように組み合わさっているように見えた。イシェは記憶をたどり、書物に記されていた古代文明の技術と重ね合わせてみた。そして、あることに気がついた。
「あの模様…古代文明の技術が使われている！石板の動きを制御できるかもしれない！」